最近はジビエという言葉をよく効きますね。

 

このジビエとは、

野生の鳥獣の肉を食べる

という意味のフランス語です。

 

畜産との対比で、
ヨーロッパでの貴族社会の伝統のようなものですね。

 

それが日本でももてはやされるように
なったのですが、このジビエには
ひとつ怖いところがあります。

 

それは野生の鳥獣の肉には

寄生虫がいることが多い

という点です。

 

そこで今回は、猪の肉には寄生虫がいるのか、
食べる時の注意点や危険性などを検証してみました。

猪の肉には寄生虫がいる?

猪の肉は『やまくじら』などと呼ばれ、
野生の動物の肉の中でも珍重されています。

 

ぼたん鍋(しし鍋)なども有名ですね。

 

でも、猪の肉に寄生虫がいるのは、

間違いない事実

なのです。

 

岐阜大学などのグループがまとめた
レポートによりますと、

住肉胞子虫は、鹿の場合90%、イノシシでは46%

の割合で検出されています。

 

これは岐阜県の長良川と揖斐川水系で
捕獲されたシカとイノシシを
調べたものなので局所的データであり、
全国的にこの割合で存在する
というものではありません。

 

とはいえ、かなりの比率で獣肉には
寄生虫が存在するのは間違いないようですね。

 

又、シカの肝臓の65%で、
槍形吸虫が検出されました。

 

この槍形吸虫は、人に感染すると

肝炎や胆管炎

を引き起こす危険な寄生虫です。

 

それでは、猪にいる可能性のある
寄生虫のリストを見てみましょう。

 

猪にいる寄生虫のリスト

ウェステルマン肺吸虫

肺に吸虫類が寄生する病気で、
肺吸虫の幼虫が寄生した

生のイノシシ肉を食べて感染した

例があります。

 

症状は咳と血痰です。

 

有鈎条虫症

体長2~3ミリほどの有鈎条虫が小腸に寄生します。

 

猪肉や豚肉の生食で感染しますが、
症状は腹痛、下痢、体重減少などです。

 

旋毛虫症

十分に加熱していない動物の肉を食べることで感染します。

 

国内ではクマ肉が感染源ですが、
海外ではイノシシ、ブタなど
狩りで獲った動物の肉からの感染が知られています。

 

自覚症状がないものから重症化するものまであります。

 

感染した肉を食べてから
1週間程後に、下痢、腹痛が2日~1週間程度続きます。

 

住肉胞子虫

感染した場合は、食欲不振, 下痢,
腹痛などの症状があります。

 

又、

E型肝炎や腸管出血性大腸菌症

になる可能性があります。

 

人には寄生しないという説もありますが、
感染例もあるので、やはり感染はあるようですね。

 

マダニ

あのダニです。

 

これも猪肉にはかなりの効率で
感染しているようです。

 

猪や鹿は

ぬた場

と言われる痕跡を残しますが、
これは猪や鹿が寄生虫を
除去する為に泥浴をした跡です。

 

それがよく見られると言うことは、
それだけマダニなどの寄生虫に
感染しているという証しでしょう。

 

 

もし寄生虫がいる肉を食べるとどうなる

寄生虫による症状

以下は寄生虫がいる肉を食べた時の
代表的な症状です。

 

ウェステルマン肺吸虫

肺吸虫は主として

カニ(サワガニ)に寄生

し、その蟹を食べた猪などが感染する、
というケースが多いようです。

 

症状は、
下痢,胸痛、腹痛、発熱、咳嗽、
蕁麻疹、肝脾腫、肺の異常、
び好酸球増多が発生します。

 

有鈎条虫

筋肉、目、脳など
体の様々な部位に寄生しますが、
症状は腹痛、下痢、体重減少などです。

 

まれですが、
脳に寄生すると脳水腫などを引き起こし、

死に至ることもあります。

 

過去には、
韓国から輸入されたキムチに入っていたと
大騒ぎになりましたね。

 

旋毛虫

初期症状としては、

吐き気、下痢、腹部けいれん、微熱

などがあります。

 

その後1.2週間後には
幼虫が筋肉に侵入し、
筋肉痛、筋肉の圧痛、筋力低下、
発熱、頭痛、
顔面のむくみ(特に目の周り)などが起こります。

 

住肉胞子虫

感染した場合は、食欲不振, 下痢,
腹痛などの症状があります。

 

E型肝炎や腸管出血性大腸菌症

になる可能性があります。

 

マダニ

マダニの場合は、マダニそのものよりも
マダニが持つ病原体に感染する
ことの方が怖いですね。

 

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

ダニに刺されてから6日~2週間程度で、
発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、
嘔吐、下痢、腹痛)が起こります。

 

その後頭痛、筋肉痛、意識障害、
けいれん、昏睡、リンパ節腫脹、
呼吸器症状(咳など)、
出血症状(紫斑、下血)などがおきます。

 

重症化し、死亡することもあります。

 

日本紅斑熱・つつが虫病

ダニに刺されてから、
日本紅斑熱は2~8日後に、
つつが虫病は10~14日後に、
高熱、発疹、ダニに刺された部分が
赤く腫れ、中心部がかさぶたになったりします。

 

治療が遅れた時には、重症化したり
死亡する場合もあります。

 

ライム病

ダニに刺されてから、
1~3週間後に刺された部分を中心に
紅斑がみられます。

 

筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、
倦怠感などのインフルエンザに似た
症状を伴うこともあります。

 

トキソプラズマ

人を含む動物に寄生して
トキソプラズマ症を引き起こす寄生虫です。

 

成人の場合には、徴候は全く無いか、
軽い風邪のような症状があるだけです。

 

一度かかると免疫は生涯持続し、
世界人口の3分の1が感染しているそうです。

 

このように獣肉の生食には危険が一杯です。

 

2003年には鳥取県でイノシシのレバーを
生食した2人が急性劇症肝炎を発症し、
そのうち1人が死亡しています。

 

又、寄生虫以外にも、
猪や鹿が保有する病原体による
感染症も怖いです。

 

病原体による症状

E型肝炎ウイルス(HEV)

E型肝炎はHEVに感染することで
引き起こされる急性肝炎で、
まれに劇症化して予後不良になる場合があります。

 

発熱や腹痛、肝機能の悪化が起こりますが、
有効な治療法は無く自然治癒を待つだけです。

 

E型肝炎はウイルス肝炎の中で
唯一の人獣共通感染症です。

 

志賀毒素産生大腸菌(O157)

かの有名な『O157(オー157)』です。

 

下痢や腹痛が主ですが、
成人の場合は重篤化することはあまりありません。

 

カンピロバクター菌

症状は、下痢や腹痛、発熱など
一般的な食中毒症状ですが、
多くは1週間ほどで完治します。

 

シカに比べてイノシシの保菌率が高いのが特徴です。

 

サルモネラ菌

猪や鹿の保菌率は
あまり高くはありません。

 

症状は 悪心、嘔吐、腹痛で始まり、
その後38℃前後の熱が出て、
下痢を起こします。

食べるときの注意点は?

これまで書いてきたように、獣肉には

寄生虫や病原菌がいる場合が非常に多い

のです。

 

E型肝炎抗体保有率

豚 86%

イノシシ 27.5%

シカ 2.6%

住肉胞子虫の検出結果

シカ 90%

イノシシ 46%

このような数値を見ても
獣肉特に野生獣の生食は
非常に危険です。

 

必ず十分に加熱する

ことが一番の感染予防です。

 

また、もし生の獣肉を調理する場合は、

使った包丁やまな板は十分に消毒する

ことを強くお勧めします。

 

更に調理の際には手術用の手袋も
着用すべきでしょう。

 

ルイベのように冷凍することも
有効ですが、
-20度で数時間冷凍しても

生き残る寄生虫や病原菌もある

ので加熱する方が無難です。

寄生虫がいる猪の肉を食べてしまったときの対処法は?

 

猪の肉を生で食べた後で寄生虫が
いることがわかった場合、対処法は

病院に行く

ことしかありません。

 

獣肉の寄生虫にせよ病原菌にせよ、
素人が自己判断で解決できる
ような問題ではないのです。

 

それに獣肉の寄生虫や病原菌には
かならず効くという特効薬が
ない場合もあります。

 

最良の対処法は

獣肉は生で食べない

ということです。

 

十分に加熱すれば全ての
寄生虫や病原菌は死滅します。

 

高い確率の罹患の危険性を
わざわざ選ぶのは
愚行としか言いようがありませんね。

 

 

結び

猪の肉には高い確率で
寄生虫や病原菌が存在します。

 

つまり

生で食べるのは非常に危険

なのです。

 

生肉を食べた後で気がついた時は
絶対有効という対処法はありません。

 

猪の生肉は決して食べない

のが唯一の対処法なのです。