以前、セミの羽化が失敗する理由などの記事を書いたとき、子供の頃の懐かしい想い出がふつふつと頭の中にわき出てきました。

 

勿論、細かいことはすっかり忘れ去っていますが、それでも当時の興奮と感動を思いだし、感傷に浸ったりしたものです。

 

子供の頃の想い出は貴重なものだと、改めて思いました。

 

セミの羽化についても、そんな想い出がお子さんに残るよう、大人も手伝ってあげたいものですね。

 

今回は、そのセミの羽化は時間はどのくらいかかるのか、場所や明るさはどんなものなのか、セミたちのことを見ていきましょう!

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セミの羽化の時間はどのくらいかかる?

セミは、卵-幼虫-成虫という不完全変態をする虫です。

 

卵から孵ると幼虫となり、地中で数年から十数年も生活しますが、この期間は種によって違い、アブラゼミの場合は6年程度のようですね。

 

セミの卵は夏の間に木の枝に産みつけられ、翌年の春から夏にかけて孵化して幼虫となります。

 

幼虫は土の中へ入り、木の根から樹液を吸って、数年間かけて脱皮を繰り返しながら成長していきます。

 

やがて用意がととのうと、地中からはい出て木の枝に登り、そこで羽化します。

 

成虫になってからは、わずか数週間の命ですが、幼虫の期間も含めると、虫の中では最大級の長命でしょうね。

 

地中生活の後、成虫になるため『羽化』しますが、この羽化がセミにとって最大の試練なのです。

 

羽化の最中は逃げることも、隠れることもできませんし、落下などのショックやストレスにも弱く、ちょっとしたことですぐ死んでしまいます。

無事羽化を終了して成虫になるセミは、

わずか30%以下

と言われているのです。

羽化の時期は、7月から8月にかけてが大半ですが、中にはハルゼミのように春に羽化するセミもいます。

 

時間的には、長い夏の黄昏が終わって夕闇に包まれる頃、午後7時頃から9時頃にかけてが大半です。

 

羽化にかかる時間ですが、これも種やケースによって違いますが、おおよそ2時間から3時間程度の場合が多いようですね。

 

殻から抜け出した後は、木によじ登り、木の幹や葉に爪をつひっかけて固定すると、背が割れて白い成虫が出て来ます。

 

そして、濡れた羽が乾くまでじっと待機します(およそ1~2時間前後)が、この間は逃げるどころか、満足に動くことさえできません。

 

天敵に襲われたり、風に吹かれて枝から落ちたり、人間に触られたり、そんな簡単なことでも、すぐ死に至るのです。

こちらはそのセミの羽化の動画です。

興味がおありの方はどうぞ。

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セミが羽化する場所は?

セミが羽化する場所は、地中から這い出した後、よじ登った木の枝や葉です。

 

もっとも、枝や葉の他にも、木の幹、石垣など、いろいろな場所で羽化します。

 

時には人間が家に持ち帰って、カーテンなどに掴まらせ、そこで羽化させる場合もあります。

 

羽化は木の枝などでは、殆どの場合、高さが1.5メートル以下の所で、60センチあたりが最も多いようですね。

 

しかも、葉の裏側とかの目立たない場所が多いのは、天敵に見つからないようにするためでしょう。

 

鳥などに見つからない場所は、ある程度低い所で、しかも葉の裏側ならまず見つかる危険は低いので、本能的にそのような位置と場所を選んでいるものと思われます。

 

もう一つ、あまり高い場所だと、登る前に体力を使い果たしてしまうこともあり、その場合は即、死に繋がります。

 

普通、セミの羽化する高さは60センチ前後ですが、その位置はクマゼミが一番高く、一番低いのはニイニイゼミのようですね

 

アブラゼミはその中間で、60センチ前後という標準的な高さです。

 

ニイニイゼミは30センチ以下の低い場所で羽化するのも、身体が小さいニイニイゼミは高く登るのが困難なためだと思われます。

 

又、高い枝ですと、風の影響も受けやすいということもあります。

 

羽化の際に風にあおられて落下すると、幼虫は殆どの場合は即死してしまいます。

 

そのため、数十センチという低い位置を選んでいるのでしょう。

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セミの羽化には明るさが重要?

セミの羽化には、場所だけではなく、気温や土中の温度、天候、時間帯、木の種類、周囲の明るさなど、様々な要素が関係しています。

 

セミの羽化は、木の種類では特にえり好みはないようです。

 

木の種類というより、登りやすい木がよいということはありそうですね。

 

気温については、やはり30度あたりが一つの目安で、35度以上の猛暑や20度そこそこの冷夏の時は、羽化も少ないのです。

 

又、土中の温度も気温に準じていて、土中の温度が25度位の時が羽化は多いというデータもあります。

 

天候はやはり晴れの時が多く、特に雨上がりの夜は羽化するセミの幼虫が多いようですね。

 

尚、雨降りの時の羽化はほとんどありません。

 

それにしても、土の中にいるのに天候や気温まで察してしまうというのは、自然の驚異、神秘というものを思い知らされますね。

 

周囲の明るさは重要な要素で、明るい内に羽化するというケースはほとんどありません。

 

そのため、セミの幼虫を捕獲して自宅で羽化させる場合も、部屋の中は薄暗くしておく、というのは鉄則です。

 

明かりをこうこうとつけたままですと、幼虫は昼間と勘違いして羽化しないのです。

 

部屋は明かりを消して薄暗くし、羽化を撮影するためのライトやフラッシュも、極力控えないと、ストレスのためもあるのか、羽化が始まりません。

 

たかが虫とも言えない、デリケートな生物なのですね。

 

但し、月の満ち欠けなどは羽化には関係ないようで、満月でも新月でもあまり差はありません。

 

又、羽化のために登る木については、日中の日当たりの善し悪しなどは影響しないようですよ。

 

最後に、羽化の観察についてですが、観察中は極力触ったりつまんだりしないように。

 

人間に触られただけで、羽化が中断したりする、神経質な幼虫もいるようで、なるべくストレスを与えないように、気を配るべきでしょう。

結び

セミの幼虫の羽化は、自然の神秘を強く感じさせてくれる、驚異のイベントですね。

羽化は、昼間の温度が30度前後、土中の温度は25度前後の日に、日が暮れて暗くなってから始まります。

どのようにして、土中にいながら明るさや気温を察するのか、不思議としかいいようがありません。

しかし、羽化には2~3時間もかかり、その間は完全に無防備で身動きすらままなりません。

セミの一生で最も危険なイベントなのです。

三分の二以上の幼虫が羽化の際に命を落とすのに、それでもなおセミたちは羽化にチャレンジします・・・