セミや蝶などの昆虫は、普段から何気なく見かけてはいますが、取り立てて深く考える人は、あまり多くはないでしょう。

 

しかし、今回少しばかり昆虫のことを調べてみて、改めて昆虫とは実に不思議な存在であることに気づかされました。

 

昆虫類は5億年近く前から、トンボやゴキブリの祖先が地球の陸上に住むようになりました。

 

やたら種類が多いことや、外骨格を持ち、完全変態或いは不完全変態を行なって成長するなど、他の生物には全く無い特異な特徴を持っています。

 

そのため昆虫はエイリアンだという珍説まで飛び出す始末です。

 

そこで今回は、昆虫の進化の謎に迫り、進化の過程の化石が少ないことや、昆虫の存在意義なども見ていきます。

昆虫の進化の過程は謎?

他の生物と比べて昆虫には、色々と特異な点が多いのですが、その中でも『変態』という不思議な現象は、他の生物には類似するものさえない、非常に特異なものです。

変態は、

卵-幼虫-蛹-成虫という完全変態と、卵-幼虫-成虫の不完全変態

の2種類がありますが、どちらも前の状態の時とは全く別の外見と機能を持つようになるという、なんとも不思議な現象なのです。

 

これは他の生物には全くない現象です。

 

もっとも、昆虫の中でもシミのように変態をしないものもあり、幼虫から成虫までほぼ同じ外見のままです。

 

これは無変態といわれます。

 

他の生物では、卵(脊椎動物の大半では卵子)から孵る時には、外見は変わります。

 

つまり、卵-成獣となるわけなので、実際には一度は変態をしていることになりますが、それでも無変態ということになっています。

となると、脊椎動物などは、途中の幼虫や蛹の段階を省略していることになります。

 

地球の誕生は約46億年前、原始的な生物の発生は40億年前とされています。

 

単細胞生物に続いて多細胞生物の出現したのは、およそ10~14億年前です。

 

その後数億年経ち、今から5.5億年ほど前に、進化史上最も重要で最も有名なイベントが起こりました。

カンブリア紀のカンブリア爆発

 

と呼ばれる現象です。

 

これまで数十億年の間、数十種類しか存在しなかった生物が、数百万年という、進化の過程では瞬間ともいえる短期間で数万種、しかも多種多様な種類が発生したのです。

 

昆虫の発生はおよそ5億年弱前とされていますので、このカンブリア爆発の少し後ということになります。

 

カンブリア紀の生物は、その化石がかなりの数で発見されていますが、形容のしようのないけったいな外見をしているものが多いのです。

ところが、カンブリア爆発の少し後に発生した昆虫の化石は、発生直後のものはほとんど発見されていません。

 

その理由は不明ですが、昆虫の現在見つかっている最古の化石は、スコットランドで見つかった、デボン紀中期 (約4億年前)のリニエラというトビムシの化石と言われています。

昆虫の化石が少ないのは、昆虫は化石化されにくい物質で構成されているからという説もあります。

しかし、もし発生当時の昆虫の外殻が、現在と同様にキチン質であれば、むしろ化石化には適しているのではないかとも思えますね。

それに最古と言われるリニエラは、昆虫類ではなく、一つ上の類の六脚類なので、正しくは昆虫ではないという説もあります。

昆虫の化石が見つかっていない?

 

昆虫の化石が全く見つかつていないということではありません。

 

相当多数の昆虫の化石が発見されてはいるのです。

 

見つかっていない昆虫の化石は、最古の化石とその後暫く経った後の多数の種類の昆虫の化石との、間を繋ぐ化石がない、ということなのです。

 

少し前の2012年の事ですが、ベルギーで約3億7000万年前の地層から昆虫が発見されたというニュースがありました。

 

こちらは、触覚や脚、頭と胸と腹なども確認できるので、正しく昆虫であり、体長は約8ミリだそうです。

 

これは体長が8ミリ、幅が1.7ミリで、触覚や脚、頭と胸と腹なども確認できるので、正しく昆虫ですね。

 

羽はありませんが、発見された化石は幼虫であり、成長する途中のためで、成虫になると羽が生えた可能性もあるそうです。

 

脚や口の形状から、陸上に生息し雑食だったらしいですね。

 

というわけで、これが現在発見されている昆虫の最古の化石ということになります。

 

又、ベルギーでの発見と同時期には、中国の雲南省で発見されていたフキシャンフィア・プロテンサという節足動物の化石が、アリゾナ大学によって解析されました。

 

それによりますと、その節足動物は、これまで考えられていたよりも早い時期に複雑な脳を持っていたということなのです。

 

このように、昆虫の化石の年代にはいくつもの説があり、どれが最古なのか特定するのが困難ということもあります。

 

それでも、最古の化石とその後暫く経ってからの多種多様な昆虫の発生との間には、空白があることは事実のようです。

 

これは一種のミッシングリンクでしょう。

 

ミッシングリンクとは、連続性がある筈の事象に、非連続性が見られる場合に使われる言葉で、特に古生物学専用の用語というわけではありません。

 

それでも、古生物学には幾つかのミッシングリンクがあり、昆虫の場合もその一つです。

 

しかし、元々ないものを想像してああでもない、こうでもないと論ずるわけですから、正確な答えなどあるわけがありませんよね。

 

「群盲象を撫でる(象を評す)」というインド発祥の寓話がありますが、昆虫のミッシングリンクについても当てはまりますね。

 

その不思議さのために、昆虫エイリアン説まで飛び出しました。

 

これは数億年前の昆虫発生後に、地球に彗星などの小天体が落ち、それに付着していた他天体の生物のDNAが昆虫に入り込んだ、というトンデモ説なのです。

 

エイリアンでも持ち出さないと、昆虫のミッシングリンクは解決しないという、見本でしょうか。

 

というわけで、昆虫のミッシングリンクについては、正確なことは全く不明のままです。

 

尚、人類にもミッシングリンクがあると言われています。

人類の遺伝子は、同じ霊長類であるチンパンジーとは99%以上同一とされています。

しかし、外見も知能も、人類とチンパンジーとでは大きな違いがあります。

その違いはどこからきたものてしょうか?

人類としての最も古い化石は『アウストラロピテクス』と言われています。

しかし、その『アウストラロピテクス』と、その以前の猿人(猿と人との中間的存在)とを繋ぐ輪は見つかっていないのです。

これが人類のミッシングリンクです。

スタンリー・キューブリック監督の世紀の傑作『2001年宇宙の旅(宇宙のオデッセイ)』は、巨匠アーサー・クラークのシナリオで、史上最高の名画と私は考えています。

その最初の部分では、人と猿の分化が始まる前の人猿が登場します。

彼らは道具を使うことも知らず、強力な外敵に悩まされていたのですが、ある日突然巨大な黒いモノリスが出現します。

そして、人猿の中で勇気を持った一人?は恐る恐るそのモノリスに触るのです。

そしてその後の敵との闘い・・・

そのモノリスに触った人猿は、ふと足元にある大きな骨を見つめます。

そしてその骨を拾った人猿は、敵をその骨で打ち据えるのです。

道具を得て敵を倒し、勝ち誇った人猿はその骨を沖天高く投げ上げます。

骨はクルクルと回りながら空へ舞い上がり、回りながら落ちてきて・・・

骨は月行きのスペースシャトルに変わるのです。

つまり、この黒いモノリスが人類のミッシングリンクであったと、キューブリックとクラークは言っているわけですね。

その後の研究により、サヘラントロプス、オロリン、ナカリピテクスなどが発見されたのですが、これらはいずれも猿人説が有力です。

又、アウストラロピテクス属は、ホモ・サピエンスの系統ではなかったという説もあります。

こちらの人類のミッシングリンクも、未解決のままなのです・・・

昆虫はどのような理由で存在しているのか?

もし、この世に昆虫がいなかったら、どうなるでしょうか。

昆虫のいない世界を想像してみましょう。

まず、植物が生育しなくなります。

昆虫は、膨大な数の植物を授粉する役目をおっています。

その受粉ができなくなったら・・・

その種の植物は死滅し絶滅します。

玉葱、大蒜、唐辛子、コーヒー、茶、ココアなど、多数の植物が死滅してしまい、人類の食物が不足していきます。

又、木綿の原材料である綿花も、受粉がなければ死滅していきます。

衣料も又不足していくのです。

もっと恐ろしいことがあります。

植物が減れば、光合成の結果出す酸素が減って行きます。

地球の酸素の大半は、植物が光合成により出す酸素ですので、これはイコール

大気中の酸素が減る

ということになります。

大気中の酸素が減るとどうなるか?

もうここで書く必要もありませんが、

地球上の生物は死滅する

ことになります。

これが昆虫の存在意義です。

もっとも、昆虫の受粉によらない生殖を行う植物も多いので、全ての植物が絶滅するわけではありません。

とはいえ、昆虫のいないことによる酸素の減少は、避けることはできないと思いますよ。

 

結び

昆虫にはさまざまな謎があります。

種類が非常に多いことや、他の生物では見られない変態を行うことなどがその謎ですが、最初の昆虫の化石の後に続く、次の世代の昆虫の化石が発見されないことも、不思議の一つですね。

いわゆる、ミッシングリンクですが、このミッシングリンクは人類にもあります。

なぜ、そのミッシングリンクを補完するデータ(化石)が見つからないのかも、これまた謎のひとつなのです。

昆虫の存在意義は、地球の生物の生命維持ということになりますが、勿論昆虫が他の生物を助けるために生きている、ということではありません。

昆虫を含めてあらゆる生命体の存在意義は、ひとえに『生きることのみにある』、と言えると思います。