2018年1月22日、東京では23cmの積雪を
記録しました。

 

これは2014年以来4年ぶりの大雪でした。

 

関東以西の平地に住んでいると、通常は

大雪というものには滅多にありません。

 

したがって、東京に住んでいる者は、大
雨警報や注意報には注意を払いますが、

大雪警報や注意報には無関心な人が多いと思います。

 

しかし、東北以北、特に日本海側では
毎年のように大雪による被害が発生しています。

 

そして、毎年数十人の人が雪害で亡く
なっているのです。

 

そこで今回は、大雪警報の出る基準や
注意報との違い、又その被害などを調べてみました。

大雪警報の基準は?

大雪警報やが出る基準には、台風の強さや
雨量のような、

全国一律の基準というものはありません。

 

まず、大雪警報とはどんなものかから観
ていきましょう。

 

警報とは重大な災害の起こるおそれのある
旨を警告して行う予報のことを言います。

 

気象での警報は

暴風・暴風雪・大雨・大雪の4種類

があります。

 

大雪警報は、降雪や積雪による住家等の
被害や交通障害など、大雪により

重大な災害が発生するおそれがあると予想したときに発表します。

 

一つ上のランクには、大雪特別警報とい
う警報もあります。

 

大雪特別警報は、数十年に一度の降雪量
となる大雪が予想される場合に発表します。

 

その警報などの基準には、以下のような
特徴があります。

 

  1. 地域ごとで基準値が違う
  2. 過去データから作成する
  3. 見直し更新もする

基準値(ミリやセンチなどの具体的な数値)
は、各地域ごとに、別々に定められています。

 

勿論、『注意報』と『警報』はそれぞれ、
違う基準値になっています。

 

雪の場合は、東京では20センチでも大雪
ですが、北陸や秋田で20センチで大雪警
報を出していたら、一年中大雪警報になってしまいます。

 

そのため、基準値はそれぞれの地域の実
情に合わせて設定されているのです。

 

自然災害では、過去のデータは

非常に貴重な資料になります。

 

過去の事例や、その土地の地理的な特性
など、種々の気象データや自然災害データ
を、気象台では大量に保有しています。

 

それにより、災害発生当時や過去の気象
状況などを、対象となる地域ごとに調査
しているのです。

 

そして、気象の条件(降雪量や風速など)
と、実際に発生した災害との関係性を、

地域ごとに綿密に調べます。

 

それにより総合的に判断して、地方気象
台は発表の基準を設定をしています。

 

さらに、各都道府県の防災機関などとも
協議、調整をした上で、

実際の基準値を作成しています。

 

下記は大雪警報・注意報の、地域によっ
て異なる基準の例です。

 

  • 北海道(宗谷地方):50㎝/12時間で警報、30㎝/12時間で注意報
  • ・東京(多摩西部・各諸島以外)や大阪:20cm/24時間で警報発令、5㎝/24時間で注意報
  • 沖縄:雪に関する警報・注意報はありません

東京や大阪で降雪が少なくても警報や注
意報が出るのは、交通量も多く、又住民
が雪になれていないため、少量の降雪でも危険があるからです。

 

事実上雪が降らない沖縄では、雪に関す
る警報・注意報がないのは当然でしょうね。

 

見直し更新は、最近の例では、平成28年
11月8日の関東地方及び東海地方の見直しがあります。

 

見直しの理由については、関東地方や東
海地方等では、平成25年及び26年の大雪
により、大きな被害が発生したので、それに対応するためとのことです。

 

こちらは東京地方の大雪警報の例です。

 

(出典 気象庁天気相談所作成)

東京地方の大雪警報の発表、解除 [ 1982(昭57)年以降の統計 ]

年 発表時刻 解除時刻   地域

1984 1月19日 11:45~ 1月19日 20:05 全域

2001 1月27日 14:30~ 1月27日 18:30 全域
2011 2月14日 22:00~ 2月15日 01:01 多摩西部

2016 1月17日 22:26~ 1月18日 10:21 多摩南部・西部
2018 1月22日 14:30~ 1月22日 23:10 全域

以下は、各都道府県(各区域)別の警報・
注意報発表基準一覧表です。

 

注意報発表基準一覧表

 

大雪注意報との違いは?

以下は、警報・注意報・特別警報の
気象庁による定義です。

 

警報は「重大な災害の起こるおそれの
ある旨を警告して行う予報」。

 

警報の対象となるのは、気象・地面現
象・高潮・波浪・浸水・洪水の6種類。

 

注意報は「災害が起るおそれがある場合
にその旨を注意して行う予報」。

 

注意報の対象となるのは、気象・地面現
象・高潮・波浪・浸水・洪水の6種類。

 

気象注意報の中には、風雪・強風・大雨
・大雪・雷・乾燥・濃霧・霜・なだれ・
低温・着雪・着氷・融雪の13種類ある。

 

特別警報は「予想される現象が特に異常

であるため重大な災害の起こるおそれが
著しく大きい場合に、その旨を示して行う警報」。

 

特別警報となるのは、気象・地面現象・高
潮・波浪の4種類で、気象特別警報は暴風・
暴風雪・大雨・大雪の4種類。

 

大雪警報と大雪注意報の違いは、

大雪警報は大雪による重大な災害が起こるおそれのある時

大雪注意報は大雪による災害が起こるおそれのある時

となっています。

 

出典 気象庁

警報は、危険が大きいので充分な注意が必要です。

 

注意報は、危険があるかも知れないので注意して下さい。

 

といった所でしょう。

 

又、大雪特別警報は、数十年に一度の降雪量となる大雪が

予想される場合に発表します。

 

尚、これらの警報、注意報が出される基
準については、前項で書いたように地域
による基準値が異なります。

 

従って、東京での大雪警報と、東北での
大雪警報では、その基準となる降雪量
は大差があるのです。

 

また、『注意報』と『警報・特別警報』
では基づく法律にも違いがあります。

 

警報と特別警報は『気象業務法』による
ものですが、注意報は『気象業務法施行
令』によるものなのです。

 

大雪の被害はどんなのがある?

大雪の被害は甚大なものがあります。

 

人的被害、物品の被害、経済的な被害
ど、合わせると膨大な数と額になります。

 

その代表的な被害はこのようなものです。

 

  • 雪崩による被害
  • 除雪中の事故による被害
  • 車の事故による被害
  • 歩行中の事故による被害
  • 豪雪による経済的被害

では、各項目ごとにその被害をみていきましょう。

雪崩による被害

豪雪による被害で怖いのは、やはり雪崩
でしょうね。

 

雪崩災害は1~3月を中心に発生しており、
死者・行方不明者を伴う被害も出ています。

 

雪崩の定義は、「斜面上にある雪や氷の

全部又は一部が肉眼で識別できる速さで流れ落ちる現象」

となっています。

 

雪崩には、表層雪崩と全層雪崩の2種類
があります。

 

表層雪崩は、積もった雪の上に新たに新
雪が積もり、なにかの衝撃でその

新たな雪が滑り落ちる雪崩です。

 

全層雪崩は、積もっている雪の全てが一
度に滑り落ちる大規模な雪崩です。

 

人的被害が出やすいのは、表層雪崩です。

 

表層雪崩はある程度の傾斜(15度以上)
の斜面に雪が積もっていれば、

いつどこでも発生する危険性があるからです。

 

全層雪崩は、特定の場所や特定の季節
(冬の終わり)に発生しやすく、ある
程度発生場所の予想が可能です。

 

雪崩が起きやすい場所は、まず急な斜面
です。

 

雪崩は傾斜が30度以上になると発生しや
すくなり、

特に35~45度が最も危険と言われています。

 

又、大きな木が密生している所ではあま
り発生せず、草や低木の斜面で多く発生します。

 

表層雪崩の場合は、ある程度の積雪の上
に多量の(30センチ以上)の雪が積もり、

気温が上がったりすると発生しやすくなります。

 

雪崩の前兆現象はこのようなものがあります。

 

雪庇(せっぴ)

山の尾根からの庇のように雪が張り出し
ている部分です。

 

張り出した部分が雪のかたまりとなって
斜面に落ちてきます。

 

巻きだれ

雪崩予防柵からの雪の張り出しです。

 

張り出した部分が、雪庇と同様に雪のか
たまりとなって斜面に落ちてきます。

 

斜面が平らになっている

斜面に元の地形がわからないほど雪が積
もって平らになっている場所も危険です。

 

家の裏山などにもあります。

 

スノーボール

ボールのように斜面をころころ落ちてく
る雪のかたまりです。

 

雪庇や巻だれの一部が落ちてきたもので
多量の場合は特に危険です。

 

クラック

斜面にひっかき傷のようについた雪の割れ目です。

 

積もっていた雪がゆるみ、少しずつ動き
出そうとしている兆候で、その動きが大
きくなると全層雪崩の危険があります。

 

雪しわ

雪の表面にしわのような模様がついた
状態です。

 

これもクラックと同様に、雪がゆるんで
動き出す兆候です。

 

除雪中の事故による被害

実は、雪による事故で多数の死者が出る
のは、この雪下ろしの時なのです。

 

雪崩では2018年の高校生の遭難事故のよ
うに、一度に多数の死者が出ることはあ
りますが、そうしばしば雪崩事故が起きるわけではありません。

 

年によっては雪による事故で、

雪下ろしの時の死者が最も多い年

もある位です。

 

平成27年度の例では、雪崩による死者は
0、しかし除雪中には23名の方が亡くな
られています。

 

そして高齢者の事故が多いのも、除雪中
の事故の特徴です。

 

この年には23名中19名が65歳以上の方でした。

 

事故の内容は、雪下ろし中に屋根から転
するケースが、最も多くなっています。

 

雪下ろしは、安全ロープをつける、複数
で行うなど、心がけましょう。

 

車の事故による被害

雪による車の事故は、路面凍結による
スリップ事故と、視界不良による事故が多いです。

 

視界不良の中には、

ホワイトアウトという現象もあります。

 

人間の目は、ものを識別して見るには、
ある程度のコントラストが必要です。

 

ところが、豪雪の時などは周囲が全て白
の雪一色、全く判別がつかない場合があります。

 

特に猛吹雪の時は、視界は雪により真っ
白となり、

何も見えないに等しい状態になります。

 

これがホワイトアウトで、非常に危険な状態です。

 

視界不良の時は、速度はできるだけ落と
し、ライトを点灯し、車間距離を十分す
ぎるほどとるようにしましょう。

 

路面の凍結は、一見してわからない場合
が多いので、夜間などの低温時には、特
に注意が必要です。

 

橋やトンネルの出入り口、交差点などは
路面の凍結が発生しやすい場所です。

歩行中の事故による被害

歩行者の雪道での事故は、転倒によるも
のや落雪によるものが大半です。

 

(車のスリップによる事故などは除きます。)

 

件数から言えば転倒が最も多く、大きな
事故に至ることは少なくても、骨折など
怪我人は相当な数に上ります。

 

転倒事故は、降雪量にほぼ比例しており、
凍った路面で足を滑らせるケースが大半です。

 

対策としては、歩幅はできるだけ小さく、
ゆっくりと歩くことです。

 

又、スリップ止めのスパイクのある靴も
ありますし、

靴に装着して必要な時だけスパイクが飛び出すというツールもあります。

 

但し、北海道の知人の言では、このツール
を使う人はほとんどいないそうです。

 

豪雪による経済的被害

豪雪による経済的被害は、意外に多いようですね。

 

雪による経済的損失の、全国の詳細な
データは見つからないのですが、新潟
県でのデータがあります。

 

それによりますと、平成24年度の豪雪による被害は、

  • 道路通行ができないための損失が12億円
  • 雪崩の危険性による通行規制による経済損失が4.5億円

となっています。

 

これは新潟県内のみで、しかも道路が通
行できないためだけに限られた金額です。

 

新潟県でも、その他の損失を加えれば、
上の金額の数倍、或いは数十倍になるでしょう。

 

ましてそれが全国となれば膨大な金額に
なることは間違いありません。

 

恐らくは台風による経済的損失に匹敵す
るのではないでしょうか。

 

結び

大雨警報や注意報と同じく、雪にも大雪
警報や注意報があります。

 

東京など雪の少ないところに住んでいる
と、雪はあまり気にならないのです。

 

しかし、新潟県や東北地方などの豪雪地
帯では、雪による被害は深刻なようですね。

 

その大雪警報や注意報の基準は、地域に
より細かく決められています。

 

全国で同一でないのは、豪雪地地域と寡
雪地域で同一では不具合があるからでしょう。

 

大雪の被害は、雪崩、除雪中の事故、車
や歩行者の事故、それに経済的被害など

莫大なものになります。

 

台風や地震ばかりが自然災害ではない、ということですね。